CAS-UB、SVGを画像としてEPUBで使うには、文字をアウトライン化するのが一番良いようだ
昨日の話題の具体例として図版のフォント問題について検討してみます。
CAS-UBではワンソースでPDFとEPUBを同時に作り出します。
(1)PDFは画面に出すだけではなく、紙に印刷するためにも使います。印刷は画面とは比較にならないほど高精細ですので印刷用の図版は高精度であることが必要です。できればベクトル図形が望ましいと思います。
(2)EPUBは主に画面で表示するものですので表示精度については、拡大縮小に耐えられる程度の精度があれば良く、むしろ、ファイルサイズが小さいのが望まれます。
現在、ひとつのファイル形式で、(1)と(2)の二つの要請を両立させることのできるのはSVGと思います。特に、EPUB2では外部画像としてSVGを表示できることになっていますし、EPUB3ではSVGを本文に使うことができます。
こんなことからSVGに大いに期待しています。いままで長いこと鳴かず飛ばずだったSVGの出番が漸くやってきたのかもしれません。
今のうちにSVGのノウハウをためて置こうということで、現在、CAS-UBで制作している冊子の図版にもSVG形式を採用していろいろ試しています。
これは縦書き文章の組版例のひとつです。
1.まず、図版を単純にSVGに変換し、CAS-UBでPDFとEPUBを作り表示してみました。
(1)PDF(PCのAdobe Readerで表示)
問題点:レイアウトは良いが、フォントが明朝系からゴシック系に入れ替わっています。オリジナルに使われているフォントが変換環境・表示環境に存在しないため途中でフォントが置き代わってしまうためです。
問題点:文字のベースラインの位置がかなりずれています。一番右の行(縦)が欠けて見えるのは、文字がSVGの台紙からはみ出しているためと思います。さらに、特に欧文と和文のずれが大きくなっています。
また、括弧や句読点が横書き用になっています。これは、SVGは縦書きなのに、iBooksでは縦書きができないので、SVG中の文章を横書きと見なして表示しているためでしょう。
2. 次に、SVGを作成する際にフォントをアウトライン化してみました。つまり、SVGの中で文字が線画として表されていることになります。このSVGを使ってCAS-UBでPDFとEPUBを作り表示してみました。
(1)PDF(iBooksで表示)
これを見ますと、PDFもEPUBも両方とも、オリジナルの通りに表示されます。このことから文字、特に縦書きを含む場合、については、SVGを作る際にフォントをアウトライン化するのが良いということになります。
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