EPUB2とEPUB3で ユニーク識別子とISBNをどのように使い分けたら良いのだろうか?

CAS-UBでは、現在、EPUB2を出力していますが、今度、EPUB3も出力できるように開発中です。

それで、識別子をどうするか考えているのですが、EPUBでユニーク識別子とISBNをどのように使い分けるのかを調べています。

EPUB Open Container Format (OCF) 3.0 では;

具現化(Manifestation)は、知的内容をデジタルで具体化したものである。翻訳、要約、異なる形式のような内容の変更は新しい具現化となる。

一つの具現化の同等で個別な複製をインスタンスあるいはアイテムという。インスタンスはビット単位で同じである必要はなく、小さな修正で新しい具現化と考える必要はない。

ISBNは具現化の識別子の例であり、すべてのインスタンスで共有される。

ユニーク識別子はEPUBの出版物の第一の識別子でOPFファイルのルート要素であるpackageの必須属性であるunique-identifier識別する。これはdc:identifier要素のID参照となっており、dc:identifier要素の内容が書籍の識別子となる。

CAS-UB(EPUB3:α版)の出力
<package unique-identifier="BookId" version="3.0" xmlns="">http://www.idpf.org/2007/opf">
<metadata xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:dcterms="http://purl.org/dc/terms/" xmlns:opf="">http://www.idpf.org/2007/opf">
<dc:title>****</dc:title>
<dc:identifier id="BookId">tag:cas-ub.com,2011:7cdd1312415762</dc:identifier>

ユニーク識別子はできるだけ頻繁に更新するべきであるが、メタデータの更新、エラーの修正、微小な修正では新しい識別子を発行するべきではない(4.1.1)。

ユニーク識別子は、EPUBリーダの違いを考慮した変更に限って、複数の具現化で共有できる。ISBNよりも粒度が大きい。

上の記述から見ると、同じユニーク識別子を具現化1=ISBN1、具現化2=ISBN…で使って良いということになりそうだ。

同一のコンテンツを別のデジタル形式で出すと具現化(=ISBN)は別になるということなので、同じ内容をEPUB2, EPUB3に出すとき、ISBNは別のものにする必要があるのは確かだ。

○疑問点
では、このとき、ユニーク識別子は共有できるのだろうか?

EPUBリーダの相違を考慮した具現化ではユニーク識別子を共有できるとあるが、このEPUBリーダの相違はEPUB2とEPUB3の相違を含むと言ってよいのだろうか?

◎CAS-UBの第3回紹介セミナーを開催します。
詳細は:

http://www.cas-ub.com/info/index.html

Access社のEPUB3 リーダー なかなか良いですが。

今日は東京ビッグサイトで開催中の「スマートフォンタブレット2011秋」に行って、ACCESS社のNetFront Book Reader EPUB Editionを見て来ました。

Android タブレット上で、縦書きルビを含む日本語文書を綺麗に表示できるようで、まずまずの出来と思います。iBooksでできていない縦書きのページネーションもできています。

但し、おそらくこのEPUBリーダーは単体で配布されることはなくて、いろいろな出版社のショップ構築用のソリューションとして提供されることになると思います。出版社が運営するショップで電子書籍を購入すればインストールされるということになるのでしょう。

そういう意味では、CAS-UBのような制作のみのサービスから直接使うということはできないということになりそうです。このあたりは、確定的ではないですが。

なお、このEPUBリーダーはWebKitを使っています。WebKitは、LGPLライセンスなのでおそらくACCESS社が改造したソース(のうちスタティックリンク部は公開義務あり)はいづれ公開されることになると思います。これを他の開発者が入手してReaderをビルドすれば、類似品を作成することもできるのではないかと思います。そうやって配布する道は残るでしょう。

但し、巷のうわさでは、iPadにはWebKitのライブラリーは一つしかインストールできないということです。そうなりますと、ACCESS社のEPUBリーダを、iPadの上で使うのは難しいということになり、なかなか難しい面もありそうです。

あとは、やはり数式対応は現時点ではWebKit依存だそうです。WebKitの数式対応のレベルの低さから見ると数式対応は当面期待できそうもない、と判断しました。

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EPUB3関連の発表が活気ついてきたが、EPUB3の表示は壁が厚いか?

EPUB3が正式に決定したことを受けてか、このところEPUB3関連の動きが少し活発になっています。

EPUB3で様々な機能が仕様として採用されたわけですが、仕様だけでは絵に描いた餅なので、これを実装した利用環境が早く出てこないと実質的な動きになりません。

CAS-UBは書籍を制作するサービスであり、EPUB3リーダについては他力本願の姿勢をとってきました。

ということで、特にEPUB3リーダの登場に期待と関心を持って待っています。しかし、どうもなかなか本格的なEPUB3対応のリーダは出てきません。これまでは、iOS5になれば、iBooksも縦書きが使えるようになるだろう、ということでAppleに期待をしていましたが…。iOSは昨日より新しいバージョンの配布が始まりましたので、早速、iOSiBooksをアップデートしたのですが、残念ながら期待はずれです。縦書きの表示は不十分で、まだまだ、とても使えるレベルではなさそうです。Appleの発表でiBooksのことにあまり触れていなかったのもむべなるかな。

一方、先日はACCESSのNET Front EPUB Readerが発表されました。まだ、現物は触っていませんが、今日はなんとか展示会場にいって現物を見てみたいと思います。

あとはAdobeのリーダに期待でしょうか。

しかし、この調子だとEPUB3の普及にはまだしばらく掛かりそうだ、と感じています。動きを促進するために、われわれもリーダ対策が必要かな、と考えはじめたところです。

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EPUB3の動向も少し整理してみたいとは思っていますが。。

CAS-UB FrankFurt デビューへ

FrankFurtブックフェアが今日(12日)から16日まで開催されます。ドイツは時差の関係で日本より1日の開始が遅いですが、もうまもなくですね。

アンテナハウスのCAS-UBは英語メニューでも動くように開発しています。ブラウザの優先言語を英語にすると英語メニューとなります。

英語版はまだα版レベルですが、これをもってFrankFurtブックフェア・Technology hallにてパートナーのDoctronicのブースでデモンストレーションすることになっています。担当はアメリカ子会社の若手。先日、アメリカに行ってCAS-UBの説明をしてきたのですが、大丈夫かなあ。

少しでも多くの人の関心を集めることができると良いですが。

来年は自力出展・自分で行こうかなあ。そのためにはもっと機能を強化して完成度を高めないと。

○CAS-UB
http://www.cas-ub.com

STIXfont V1.1.0 ベータテスターを募集中

科学技術文献の作成者やソフトウエアのベンダが自由に入手・配布できるフォントを作成するSTIXプロジェクトが次のSTIXfonts V1.1.0のベータテストを開始しました。


○ベータ版
提供場所:http://sourceforge.net/projects/stixfonts/
提供期間:ベータ期間は12月1日までです。

○本プロジェクトの目的
1.Unicodeベースの数学シンボルとアルファベットの包括的なフォントを提供する。
2.SIL Open Font Licenseによるロイヤリティ・フリーで入手可能
3.アメリカ数学会(AMS)をはじめとする学会やエルゼビア・サイエンス社の共同プロジェクト

HOME:http://www.aip.org/stixfonts/index.html

○V1.0からV1.1への更新内容
1.V1.0では29個のフォントファイルで提供。V1.1では同じグリフセットを4つのテキスト・フォントと1つのシンボル・フォントにまとめた。
2.グリフセットについて
(1)デザインの変更
(2)グリフの削除と追加
(3)Private Use Areaとのコード領域の移動
などの見直しが行なわれている。

○歴史
http://www.aip.org/stixfonts/proj_timeline.html

このプロジェクト開始は1995年で、V1.0.0が2010年5月リリースですからV1を出すまでに随分長くかかっています。

第3回CAS-UB紹介セミナーを10月26日開催!

10月26日(水曜日)18:30より20:30まで、第3回クラウド型汎用書籍編集・制作サービス「CAS-UB」紹介セミナーを開催します。

CAS-UBで、実際に書籍を作るところを実演します。また、現在開発中の、EPUB3、数式編集、英語版などの新しい機能についてご紹介します。

場所は市ヶ谷健保会館 F会議室。
東京都新宿区市谷仲之町4−39

参加費は無料ですが、事前登録が必要です。
○お申し込みはこちらからどうぞ。
http://www.exism.co.jp/contact/form/seminarinq.html

○詳細ご案内
http://www.cas-ub.com/info/index.html

EPUB販売サイト「文楽」にEPUB書籍を販売登録してみた感想・・・

EPUB販売サイト「文楽」ができたというニュースがしばらく前に流れていました。そういえば、On-Deckでも紹介されていました。

今日、デジタルコミュニケーションズ社の福重社長とそのことを話題にしました。彼は、かなりお気に入りのようでしたが・・・

■やったこと
そういえば・・・ということで、忘れていたのだけれどもこれを思い出して、さっそく、以前からPDFとEPUBで販売している「はたらく人のための転職の実学」(2011年6月30日第2版発行)のEPUB版を登録してみました。

登録作業は、大雑把に、(1)ユーザーを登録した上に、(2)販売業者として登録、(3)書籍をアップロード・登録、(4)銀行口座を登録という順序です。いろいろ契約文面があるので、それを読みながら作業したところ1時間位かかりました。

■感想
文楽」のシステムは一見するとユーザーフレンドリーになっている。しかし、上述の登録作業を実際に行なってみると応答があまりユーザーフレンドリーではない。一番の問題は、Webページでなにかボタン、例えば、「保存」ボタンを押したとき、それに対するサーバ側のリプライが表示されないということがまずいのではないだろうか。

Webから何か入力したとき、サーバは、即座に「入力を受け付けた」というメッセージを返すべきだが、このサービスは、たとえば、商品を登録してもそれに対して登録完了しましたというような応答が見えない。また、事前審査があるようだが、それがどうなるのかわからない。これから審査しますとかいうような確認応答が欲しいのだが、連絡がこない。

結局、商品を登録したのだが、登録が成功したのか失敗したのかも良く分からないし、いつからどうなるかも分からない。

全般として使い勝手はDLマーケットの方がずっと優れている。
○CAS-UBで制作した書籍「はたらく人のための転職の実学」をPDF版、EPUB版発売のご案内
http://d.hatena.ne.jp/cassupport/20110723/1311389610


■結論
文楽」をちょっと使ってみた限りでは、いまひとつという印象です。ソフトウエアもサービスもバージョン1は未熟ということかもしれないなあ。今後の成長を期待します。